第1回

(有)山仙丸漁業 第78山仙丸 西宮 大和氏(漁労長)

まき網船の1日のスケジュールを教えてください。

今の漁場(12月)は福島県沖で投網時間が17:00~03:00と決められており、銚子港を10:00に出港しています。ここから福島県沖までは6~7時間ぐらいかかるので漁場には17:00ころに着きます。

漁場に着くまでの間は航行のために航海士が安全航行につとめ、他の乗組員は食事をしたり、操業の準備をします。

漁場に到着すればブリッジにいる幹部(船頭、船長等)は、ソナーを使って魚を探索し、魚群を発見したら操業を開始します。(操業方法は別図)03:00まで操業し、操業終了後は銚子港へ帰港します。

運搬船は操業終了後に水揚港(今日は銚子港)に向かい、その後水揚の作業をします。

本船には魚艙があり魚を積み込むことができるようですが、どのように積み込むのですか。

本船はサバであれば約130トン積み込むことが可能で、運搬船では三角網で魚をすくって魚艙にいれますが、本船の場合はフィッシュポンプを使って積み込みます。フィッシュポンプは魚を効率よく吸い込められるよう網を絞りながらやる必要があるので、経験が必要ですが慣れれば自動で積み込むので作業が軽減され便利です。

船員の役割を教えてください。

まき網には本船(網船、魚を獲る船)と運搬船(魚を積む船)の合計2隻で操業する体制(他にも本船、運搬船2隻体制等がある)であり、それぞれの船に船長、局長、ソナー士、司厨長がいます。

船頭は、魚を獲る総責任者であり、漁獲に係るすべての責任を負います。

船長は、船の運航責任者であり、海上での運行の責任を負います。

局長は、通信の仕事を担当しており、無線局からの海上情報等を入手することや、北まきからの事務連絡等を船頭や船長に伝える仕事をしています。

ソナー士は、ソナーを使って魚を探す担当者です。

司厨長は、船員全員の食事を作る人です。

その他船上での作業員がいます。

ここ数日はサバが好漁でしたが、今日はあまり獲れなかったですね。魚群が南下したのですか。

今までは表層から70~80mぐらいのところにサバの魚群が泳いでいたのですが、今日は水温の関係か、深いところを泳いでいて、網が届かなくて獲れなかったようです。なので、表層から70~80mぐらいで泳いでいる魚群を見つけた船だけが獲れたようです。あと、まき網は潮の流れに影響して魚がいても潮の流れが速い場合は網が流されて網を張ることができないこともあります。

魚がいるから必ず獲れるというわけでもないのですね。魚群の位置や潮の流れも影響するようです。

近年はサバ、マイワシの資源が良好で、公海までサバやマイワシの漁場ができ、公海上では中国船がサバを漁獲しておりますが、北まき船が公海で操業することは考えていますか。

我々の船は公海へ行くところを想定して船を作っていないので、公海で操業することはないですね。カツオマグロをするまき網船なら公海まで行けるので操業することは可能ではないでしょうか。

日ソ地先沖合漁業協定で、昨年から日本のEEZ内でロシアのトロール船がサバを漁獲しておりますが操業上のトラブルとか問題はないですか?

何回かはロシア船を見かけているが今のところトラブルはないです。私の船ではないが、他のまき網船の話では操業中に近くを航行して危ないとの声もあるようです。

ありがとうございました。